会長挨拶

中山 英人

日本蘇生学会 第42回大会

会長 中山 英人

(埼玉医科大学病院麻酔科・集中治療部 教授)

謹啓
時下益々ご清栄のこと大慶に存じます。

2023年(令和5年)11月17日(金)18日(土)の2日間にわたって日本蘇生学会第42回大会を川越プリンスホテル(埼玉県川越市)において開催いたします。

コロナ禍という言葉が人口に膾炙して久しく、多くの学会がリモートまたはハイブリッド形式での開催を余儀なくされました。新型コロナウイルス感染症が2類から5類に変更された現在も患者の発生は途切れず、動もすれば新たな波が襲来しかねません。前回の日本蘇生学会第41回大会は会長のご英断から対面のみの現地開催となりました。今回も現地開催といたしますが、世情次第で配信併用の余地を排除しません。

死は不可逆的ですが、心停止は可逆的です。日本蘇生学会はまさに心停止を可逆たらしめるための集いです。心停止を死に至らしめない蘇生という行為に携わる多職種が一堂に会します。

心停止は院内外のどのような場所でも、またいつ如何なる場合でも昼夜を分かたず起こり得ます。原因として外傷、犯罪、戦争、疾病の進行や医療行為が含まれます。死と生は隣り合っているとも言え、我々の周囲に多くの死が存在しています。換言すれば、死は我々のとても親しい距離にあって、常にこちらの動静を覗っています。我々はこれを座視していてはならず、挑みかからなければなりません。

第42回大会テーマとして、「現場と科学と教育の癒合」を掲げました。現場で培われた経験、科学に裏打ちされたエビデンス、手技のトレーニングを含む教育といった個々の要素が乖離あるいは解離していると断じるものではありませんが、ともすると各要素の双方向の連携が疎になりがちな局面も垣間見られます。改めてこれらの要素の橋渡しを志向し、三位一体の躍進・発展という視点を提唱したいと思います。テーマに沿って、教育と現場、現場と科学、科学と教育の距離を縮める企画を用意しています。

恩師と仰ぐ山口大学医学部麻酔・蘇生学教室の初代教授、武下 浩が第2回大会の会長を務めてから40年目にあたる今大会の会長を拝命したことは大きな名誉であるとともに、医師として歩んだこれまでの歳月を俯瞰する機会を得たことにもなります。関係各位のご尽力をもって本大会を盛会裡に了し、横溢する闊達な雰囲気のバトンを次期大会に繋ぐことが会長の使命であると心得ます。

皆様からのお力添えを賜りたく、川越にご参集いただけることを楽しみにいたしております。

謹白

2023年7月吉日

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